臨床工学科
医学的知識と工学的知識を活用し、高度医療機器の取扱いを支える専門職として業務を行っています。
臨床工学技士とは?
この資格は、病院で医療機器が多く使用されるようになり、これまでの医療資格には無かった、高度医療機器の取扱いを支える専門職として1987年に臨床工学技士法が制定されてできた国家資格です。
当院の臨床工学科について
当院の臨床工学科は臨床工学技士が11名在籍し、日勤業務に加え、休日や緊急呼び出しへの対応を行っています。(2024年現在)
業務内容は、生命を維持するための医療機器の操作と保守管理が主となり、「臨床業務」と「医療機器保守管理業務」に大別されます。
業務の詳細説明
1.臨床業務
血液浄化療法業務
腎臓の機能が低下して、血液透析等の血液浄化療法が必要な患者様の治療を行っています。人工透析装置を使用し、本来腎臓から排泄される老廃物を取り除き血液の浄化を行います。
血液浄化業務 | 透析室に24台の透析装置を配置して、月・水・金は2クール、火・水・木は1クールの透析を行っています。オンラインHDF、アフェレーシスにも対応しています。また、急性血液浄化には、ICUに透析装置2台配置、CHDFにも対応しています。 |
手術室業務
循環器科、呼吸器科、消化器科、整形外科、泌尿器科等の手術の際に立会い、医療機器の操作と保守管理を行っています。
人工心肺業務 | 心臓疾患の患者様への手術が行われる場合、手術操作によっては一時的に心臓機能を停止させて手術を行うことがあります。この際に、血液循環と呼吸機能を医療機器を使用して代行する必要があります。その装置を人工心肺装置といいます。臨床工学技士が装置の操作や保守管理を医師の指示を受けて行っています。 心臓手術の際、人工心肺装置の操作には、技士2~3名で業務に当たります。人工心肺装置の他に自己血回収装置や体外式ペースメーカー、IABP、ECMOの操作と保守管理も行っています。 |
胸腔・腹腔鏡装置の操作・保持 | 呼吸器科、消化器科の外科手術の際に胸腔鏡、腹腔鏡を使用しますが、装置の準備や操作・保持を行っています。 |
運動誘発電位測定など | 整形外科手術中の神経障害を回避するための脊髄虚血モニタ機器や神経の方向や相対的近接性を測定する機器を操作しています。 |
心臓カテーテル室業務
心臓カテーテル室では、心臓や大血管系の造影やPCI、心臓ペースメーカー植え込み、透析患者様の内シャントに対するVAIVTなど、多くの検査や治療が行われています。臨床工学技士は、1~2名で業務に当たり、清潔野での医師の介助、ポリグラフ装置操作、IVUS等の検査機器の操作を行っています。
不整脈デバイス関連業務
心臓の拍動の異常によりめまいや失神発作を生じる場合、ペースメーカー植込み術や植込み式徐細動器(ICD)使用されます。また、心不全に対する心臓再同期治療での両室ペースメーカー(CRT-P、D)植え込み術の立会も行っています。また、植え込まれた後の機器の作動状態をチェック、動作設定の変更などを医師の指示を受けて行っています。
内視鏡室業務
各消化器疾患の検査、治療に医師、看護師と共に対応しています。各検査、治療に使用する内視鏡と内視鏡システムの準備や操作、使用後の洗浄、保守管理を行っています。
2.機器保守管理業務
2007年の医療法、薬事法の改正に伴い、医療機器管理が義務化されました。医療機器管理責任者の設置、医療機器管理指針、管理計画、保守点検簿の作成や医療機器に関する研修を行い、法に則した安全な医療機器管理体制に取組んでいます。
医療機器の保守管理業務
病院内の医療現場には、多くの高度医療機器が配置されて、常時使用されています。これらの医療機器がいつも適正に稼動するためには、適正な保守管理が必要となります。医療機器の管理台帳作成、点検実施と記録管理を行っています。このように生命維持装置といわれる高度医療機器の保守管理を臨床工学技士が担当しています。われわれが臨床業務によって直接操作する機器はもちろんですが、その他に人工呼吸器、輸液ポンプ、シリンジポンプ、電気メス、心臓ペースメーカー、IABPなど多種多様な医療機器の保守管理を行っています。
医療機器の取扱いに関する研修
医療機器の購入時や職員の入職などに合わせて、医療機器の取り扱い方法や安全使用を目的とした研修会を主に医師、看護師を対象として開催しています。
臨床工学科より一言
私達は、医療機器を取扱う専門職として、安全でなお且つ適切に機器が使用されるように業務に携わっています。また、病院で働くことは、常に患者様を目の前にして業務を行うことと意識し、「患者様本位」を第一に安全安心な医療の提供に努めています。