呼吸器外科

診療内容

呼吸器外科では肺・縦隔・胸壁など心臓・大血管・食道以外の胸部の外科的疾患を診療の対象とする臨床科です。主な対象疾患は原発性肺がん、転移性肺腫瘍、良性肺腫瘍、自然気胸、肺巨大嚢胞、縦隔腫瘍、悪性胸膜中皮腫、胸壁腫瘍、胸部外傷、膿胸などです。当科では胸腔鏡下手術(Video Assisted Thoracoscopic Surgery; VATS)を積極的に施行しており、肺がんや自然気胸などの全ての手術に対して早期退院も可能な低侵襲手術を行っております。また、その対極といえる拡大手術にも積極的に対応しております。心臓血管外科の協力を得て、人工心肺等が必要となるかもしれないような胸部腫瘍に対しても、呼吸器外科手術の必要性を勘案し対応しております。

当科の特長

経験豊富な呼吸器外科専門医による患者さんの体に対する侵襲(負担)が少ないハイ・クオリティーな胸腔鏡手術を施行しております。

胸部悪性腫瘍に対して、肺の機能をまもる低侵襲な手術を心がけています

原発性肺がん、転移性肺腫瘍、悪性胸膜中皮腫、縦隔悪性腫瘍などの胸部悪性腫瘍手術は年間約50例程度施行しております。早期の原発性肺がんに対しては胸腔鏡(VATS)を使用した最大創長が約4cmの低侵襲手術を通常手術として施行しております。また、術式も以前から行われている古典的な肺葉切除のみでなく、残存肺が多く、術後肺機能がより温存される区域切除も同様のアプローチで手術を実施しております。悪性胸膜中皮腫に対する胸膜肺全摘術などの拡大手術も疾患に応じた術式として施行しております。さらに、術中迅速病理診断を用いた術中での方針決定、手術戦略選択が可能で過不足のない洗練された治療が施行できています。

単項式胸腔鏡下手術で気胸の患者さんの生活を守ります

気胸は突然の発症が多いため、緊急に対応できる搬送先が求められています。当院は気胸にお悩みになられる患者さんを守るために、2019年3月に気胸センターを開設し、24時間365日対応にあたっています。全ての症例が胸腔鏡(VATS)を使用した低侵襲手術となっており、年間約100例程度施行しております。若年者の気胸に関しては早期退院と気胸再発防止によって、通常生活(学校、仕事など)の妨げになる期間をできるだけ少なくすることを念頭に低侵襲手術に努めております。その究極の形として単項式胸腔鏡下手術を積極的に取り入れています。また、中年以降の喫煙、肺気腫による続発性気胸は低侵襲と再発防止を目標にしながら、年齢、呼吸機能、合併疾患、肺癌の可能性などを考慮し治療方針を決定しております。詳細は気胸センターのページをご覧ください。

胸部外傷や膿胸にも対応しています

多発肋骨骨折による外傷性血気胸や胸骨骨折など、当院整形外科と協力して対応しております。頭部外傷を合併している症例は脳神経外科医不在のため対応しておりません。また、膿胸といった胸膜の細菌感染により胸膜腔に膿(うみ)がたまる病気に対して、膿胸ドレナージや低侵襲胸腔鏡下膿胸手術も対応しております。

こんな症状・疾患をみています

  • 胸部悪性腫瘍(原発性肺がん、転移性肺腫瘍、悪性胸膜中皮腫など)
  • 自然気胸
  • 胸部外傷・膿胸

施設認定

  • 呼吸器外科専門医制度規則に規定する基幹施設の関連施設

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