泌尿器科

診療内容

泌尿器科では、尿路(腎臓、尿管、膀胱(ぼうこう)、尿道)のほか、男性生殖器・内分泌臓器(前立腺、精嚢(せいのう)、精巣、副腎)に関する病気を診察しています。具体的には、泌尿器がんの診断と治療、尿路・性器の感染症、排尿の問題、尿路結石症、などに対して患者さまの状態に応じて、薬物療法や手術治療を組み合わせて対応します。当院には循環器科、呼吸器科、糖尿病内分泌内科、整形外科、形成外科、リハビリ科なども併設されており、各科の先生に協力を頂きながら、持病のある患者さまで泌尿器科手術が必要な方にも対応可能です。

当科の特長

患者さまに治療効果を実感していただける排尿障害治療を心がけています

当科では排尿障害の診断と治療に力を入れています。排尿障害の治療では薬物療法から開始することが一般的だと思いますが、当科は患者さま自身が治療効果を実感して頂けるように、生活習慣の見直しや行動療法による治療も積極的に進めています。骨盤底筋体操を中心とした行動療法は、リハビリテーション科と協力で対応しています。一方で、薬物療法では良好な経過が得られない場合や他の施設では対応が困難な排尿障害を抱えている患者さまには、了承が得られれば入院対応も含めた上で検査を行い、その方の背景を考えながら適切な排尿管理方法を提示しています。具体的には、尿の勢い(尿流量測定)、残尿(残尿測定)、膀胱の伸縮性(内圧尿流測定)、尿を我慢する筋肉の働き(外尿道括約筋筋電図)などを調べることで評価が可能です。薬物療法で効果の乏しい前立腺肥大症に対しては手術治療が勧められますが、上記の検査を行うことで手術を受ける意味や必要性をより具体的に説明できると思います。また、様々な病気で排尿に関する障害を抱えてしまった方や、悩まされている症状の具体的な原因が解らずにいる方などにも、こうした検査は有用です。

前立腺肥大症・尿路結石症に対する身体に負担がすくない手術が可能です

前立腺肥大症や尿路結石症に対する外科治療機器として、高出力ホルミウムYAGレーザーを導入しています。これにより大きいサイズの前立腺肥大症に対しても経尿道的前立腺核出術(HoLEP)が行えるようになり、患者さまの身体の負担を減らすことができるようになりました。尿路結石症においてもホルミウムYAGレーザーを使用した砕石は有効であり、硬い結石に対しても十分な効果が見込めます。

さらに当科では前立腺肥大症に対する低侵襲治療として、経尿道的前立腺水蒸気治療(WAVE)を導入しています。これは内視鏡を尿道に挿入し、肥大した前立腺に針を刺し、水蒸気(103℃)を注入する治療であり、通常は全身麻酔を使用する必要もありません。また、従来の手術に比べて尿道粘膜や性機能を温存することが可能となりました。ご自身の年齢や持病からこれまでは治療を諦めていた方にも効果的な治療が提供可能な環境が整っておりますので、どうぞご相談下さい。

性別不合に対する総合的なケアを行っています

泌尿器科診療としては珍しいかも知れませんが、性別不合(GI)に対する診療を行っています。この領域で北海道唯一の総合診療施設である札幌医大附属病院と協力しながら、北海道における診療の受け皿として、診断・治療にかかわる様々な相談を受けています。担当医はGI学会認定医を取得しており、診療ガイドラインに沿った安心・安全な治療を行っています。また、性別適合手術実施施設として学会より認定を受けており、詳細については病院代表電話やメールでの相談からとなりますが、手術後のケアや手術内容に関する相談のほか、手術に関しても札幌医大と協力して行っていく予定です。

医療を行う上で重要なことは、目の前の患者さまにとって最適な方針は何かを考え、提示し、十分に理解して頂いた上で行うことだと考えています。決して独善的に診断や治療を進めるのではなく、他の施設で治療を受けて頂くことがベストであると判断した場合には、敢えてお勧めすることもあります。施設間の連携は当院の患者サポートセンターと協力して責任をもって対応します。どうぞお気軽に受診をして頂ければと思います。

こんな症状・疾患をみています

前立腺疾患(肥大、がんなど)、排尿障害(過活動膀胱、尿失禁、神経因性膀胱など)、尿路結石症、尿路・性器感染症、各種泌尿器がん、性別不合(GI)などに対応しています。

札幌中央病院におけるトランスジェンダー医療について

当院は、泌尿器科担当医が日本性別不合(GI)学会認定医として、当事者の診療を行っています。おかげさまで、多くの方から診療内容についてメールや電話でのご相談をお受けしています。そこで「当院で対応していること」「よくあるご質問」に対しての回答を掲載しておきます。事前に確認のうえ、予約取得時の参考にして頂ければ幸いです。

当院で対応していること

よろず相談

トランスジェンダー医療全般について解らないことがあれば、どのように対応すべきか、一般的なお話をさせて頂いております。

ホルモン療法

トランスジェンダー男性・女性にかかわらず治療を行っていますが、基本的には精神科医が発行した意見書を元に、トランスジェンダーケアチーム内でホルモン療法の承認を得た方に対して治療を行っています(承認が得られていれば新規・継続いずれも可能)。診断と承認が得られていない方は専門医療施設(札幌医大)への受診をお勧めすることになります。ホルモン療法で使用する薬剤や経過観察の方法などは、受診時に担当医からお聞きください。

乳房切除・性別適合手術

診療担当医が泌尿器科医のため、乳房切除や子宮卵巣摘除は行っていません。外陰部改変を伴う性別適合手術についても、現時点(2024年6月)では自施設内で行ってはいませんが、開始準備は進めていますので、個別にご相談下さい。なお、他施設(国内・海外問わず)で手術を終えた後の経過観察や、術後のトラブルなどで受診先が見つからず困っている方は相談に乗ります。状態を確認した上で対応を考えます。

よくあるご質問

  • 自分はトランスジェンダーではないかと思うのですが、診断してくれますか?
  • 当院での診断はできません。性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン(リンク参照)において、診断を行えるのはGI診療に精通した精神神経科医になります。このため、日本GI学会メンタルヘルス専門職所属施設(リンク参照)を参考にして専門施設の受診を検討ください。北海道内にお住いの方であれば、札幌医大附属病院への受診をお勧めしています(リンク参照)。
  • 診断書があるのでホルモン治療をしてくれますか?
  • 一定の条件を満たしていれば、ホルモン治療を行います。条件は、診断確定に関する各種書類、および精神神経科医が発行した意見書を元に、トランスジェンダーケアチーム内でホルモン治療の承認が得られていることを証明する書類を持参することです。診断書のみではホルモン治療を行うことに対するチーム内での承認が得られていませんので、原則対応しません。解らない点があれば、よろず相談として受診頂き、説明をさせて頂きます。
  • ホルモン治療をすでに行っているのですが継続してくれますか?
  • トランスジェンダーケアチーム内での承認が得られており、証明する書類を持参ください。現在治療を行っている施設からの情報提供書を確認して、継続して対応を行います。解らない点があれば、よろず相談として受診頂き、説明をさせて頂きます。
  • 乳房切除を行ってくれますか?
  • 当院で乳房切除は行っていません(当院で対応していること、をご参照ください)。
  • 性別適合手術を行ってくれますか?
  • 現時点で(2024年06月)、当院のみで性別適合手術を行ってはいません。現在、準備中です。
  • 性別適合手術を終えたのですが、術後の経過を診てもらえますか?
  • 診察可能ですので、受診予約をしてください。

リンク

施設認定

  • GI(性別不合)学会 手術に係わる認定施設

担当医紹介