整形外科
診療内容
整形外科は、主に身体の姿勢や運動の関係する部位である四肢(手、足)や脊椎などの筋骨格系のけがや病気を扱う診療科です。患部を修復再建し、損なわれた機能を回復させることが治療の基本となります。高度な医学的知識と経験に基づいて、手術やその他の方法により骨・四肢関節、脊椎、末梢神経などを治療し、皆様の生活の質(QOL:Quality Of Life)向上を図ります。レントゲン、CT、MRI、骨密度検査、神経伝導速度検査などを活用して3名の整形外科専門医が診断・判定を行い、治療・機能向上をおこなっています。運動器の外傷、手足の関節疾患、脊椎疾患、末梢神経疾患など幅広く運動器の疾患を扱っており、クリニックでは対応できない病院整形外科としての役割をリハビリテーション科とともに担っています。
当科の特長
幅広い部位の骨折の治療および早期復帰を目指したリハビリテーション
当院は札幌市救急告示医療機関(外科系初期救急病院)として登録されており、救急患者を迅速に受け入れ、適切な治療を開始するために必要な手術室、救急外来、集中治療室、画像診断装置、血液検査施設などの設備を整備しています。当院整形外科は手関節、股関節、肩関節、足部の骨折など、広範囲の外傷に対する専門的な知識と豊富な経験のもとで適切な治療を提供します。(開放骨折に関しては場合によっては対応できない時があります)。また、外傷による痛みや機能障害はその後の回復期間もとても重要です。運動器認定理学療法士の資格を持ったスタッフを中心にリハビリテーションプログラムを提供し、患者さんが早期に日常生活に復帰できるようサポートします。
骨粗鬆症に対する包括的なアプローチ
骨粗鬆症は骨が脆くなる状態であり、骨折リスクの増加につながり、日常生活に大きな影響を及ぼします。その原因は複雑であり、加齢とそれに伴うホルモンの変化、喫煙やアルコール摂取、運動不足などの生活習慣、カルシウムやビタミンD・微量元素などの栄養素の不足といった要因の組み合わせで悪くなっていきます。当院では骨折に対して手術治療を行うことと並行して骨密度測定や血液検査などで骨粗鬆症を正確に診断するとともに、薬物療法、栄養指導、運動療法など様々なアプローチを用いて、患者さんの健康と生活の質を向上させるお手伝いをします。
関節障害に対する治療と膝関節専門外来による患者さんのご希望にあわせた治療選択
関節疾患では、変形性関節症、スポーツ障害などを扱っています。薬物治療やリハビリなど保存療法を主体に、必要な症例に対しては手術治療を行います。特に膝関節については糸田医師による専門外来を開設しており、患者さんのニーズに応じて診断と情報提供を行っています。手術治療に関しては、内視鏡手術(半月板縫合・靭帯再建)、関節温存手術(骨切り術)、人工関節置換術など多彩な手術療法を提案することができ、患者さん一人一人のご希望に合わせてもっとも適した治療方法を提供しています。他の病院を受診して手術を勧められたものの、本当に手術が必要だろうかとか、別の手術方法があるのではなかろうかと悩まれている患者さんは、ぜひお気軽にご相談ください。
手足のしびれ・機能障害に対する総合的な治療
近年はコンピューター作業やデスクワークなどによる手首や手の疲労から手首の末梢神経の圧迫をきたして指のしびれや痛みがおこる手根管症候群など、末梢神経障害が増加しています。当院ではMRIなどを用いて正確に診断するとともに、生活指導や薬物療法および手根管開放術など専門性の高い手術療法の中から、患者さんにあわせた適切な治療を提供します。早期治療が大切ですので、手足のしびれを感じる場合はお早めにご相談ください。
脊椎疾患に対する専門的な治療
脊椎疾患は、背骨やその周囲の組織に影響を与えるさまざまな問題や障害の総称です。身体の中心的な支柱である脊椎は、神経系の保護や姿勢の維持に重要な役割を果たしています。当院では坐骨神経痛の原因となる腰椎椎間板ヘルニアや、腰部脊柱管狭窄症などの脊椎疾患に対して、薬物治療に加え、腰痛体操指導などのリハビリ治療を行っています。また、火曜日に脊椎外科専門医の堀清成医師(非常勤、札幌南整形外科病院勤務)による脊椎専門外来を開設しており、手術を必要とする患者さんの対応にあたっています。
こんな症状・疾患をみています
主な症状
- 関節(ふしぶし)が痛い
- 首、腰や背中が痛い
- 手や足がしびれる、痛い、麻痺している
- 骨折や捻挫をした
- 指が曲がらなくなった
- 手や足が変形している
- 手や腕に触れるできものがある
- 肩が挙がらなくなった
主な疾患
- 外傷
- 骨粗鬆症
- 脊椎疾患
- 関節疾患(変形性関節症、スポーツ障害)
- 末梢神経疾患
主な手術
- 骨折観血的手術
- 人工骨頭置換術
- 関節内骨折観血的手術
- 人工膝関節置換術
- 関節鏡下半月板縫合術
- 脛骨近位骨切り術
施設認定
- 日本整形外科学会専門医研修施設
- 日本脊椎脊髄病学会椎間板酵素注入療法実施可能施設
研究情報の公開
日本整形外科学会症例レジストリー(JOANR)
当院では、公益社団法人日本整形外科学会が実施する運動器の病気で入院・通院されていた患者さんの診療情報を用いた「日本整形外科学会症例レジストリー(JOANR)構築に関する研究」に協力しています。この研究を実施することによる患者さんへの新たなご負担は一切ありません。
本研究にあたって提供するデータは、提供前に個人を特定できない形に加工した上で提供しますので、患者さんの個人のプライバシーは保護されます。
医学論文
- 血清亜鉛値と骨粗鬆症ならびに骨粗鬆性骨折との関係について. 畑中 渉. 東日本整形災害外科学会雑誌. 2024
- Hansson Pinloc/Pinlocを用いた大腿骨頚部骨折骨接合時の術中牽引解除の効果 - 第3報 -. 畑中 渉. 骨折. 2024
- 亜鉛欠乏と骨粗鬆症のリスクの関係について. 畑中 渉. 骨折. 2024
- 第5中手骨頚部骨折に対する逆斜位X線撮影の有用性. 畑中 渉. 臨床整形外科雑誌. 2024; 75: 229-232
- 安定型足関節外果単独骨折に対する下腿U字シーネないし機能的装具による積極的保存療法の成績. 畑中 渉. 北海道整形外科外傷研究会会誌. 2023; 38: 07-12
- Seymourタイプの成人末節骨骨折の治療成績. 畑中 渉. 日本手外科学会雑誌. 2023; 40: 90-93
- 亜鉛欠乏と骨粗鬆症のリスク関係. 畑中 渉. 整形外科. 2023; 74: 1065 - 1068
学会・研究会等発表演題
第70回 東海整形外科外傷研究会(2024年3月23日、Web)
演題名 | 外傷性胸骨柄体結合脱臼の1例 |
演者 | 畑中 渉 |
所属 | 札幌中央病院整形外科 |
第49回 札幌市医師会医学会(2024年2月18日、札幌)
演題名 | 亜鉛欠乏と骨粗鬆症のリスクの関係について -第2報- |
演者 | 畑中 渉 |
所属 | 札幌中央病院整形外科 |
第145回 北海道整形外科外傷研究会(2024年1月27日、札幌)
演題名 | 外傷性胸骨柄体結合脱臼の1例 |
演者 | 畑中 渉 |
所属 | 札幌中央病院整形外科 |
第72回 整形外科災害外科学会(2023年9月22日、旭川)
演題名 | 血清亜鉛値と骨粗鬆症の関係について |
演者 | 畑中 渉 |
所属 | 札幌中央病院整形外科 |
第49回 日本骨折治療学会学術集会(2023年6月30日、静岡)
演題名 | 亜鉛欠乏と骨粗鬆症のリスクの関係について |
演者 | 畑中 渉 |
所属 | 札幌中央病院整形外科 |
演題名 | Hasson Pinlocを用いた大腿骨頚部骨折骨接合時の術中牽引解除の効果 |
演者 | 畑中 渉 |
所属 | 札幌中央病院整形外科 |
第66回 日本手外科学会学術集会(2023年4月20日、東京)
演題名 | Seymourタイプの成人末節骨骨折の治療成績 |
演者 | 畑中 渉 |
所属 | 札幌中央病院整形外科 |
担当医紹介
- 須田 祐之(すだ ゆうし)
- 畑中 渉(はたなか わたる)
- 糸田 瑞央(いとだ みずお)
- 整形外科(非常勤) 堀 清成(ほり きよしげ)