循環器内科

診療内容

循環器内科は、心臓や血管の病気を診断・治療する専門科です。狭心症や心筋梗塞、弁膜症、心不全、不整脈、大動脈疾患、末梢血管疾患などを対象としています。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を管理し、急性心筋梗塞などの重たい循環器疾患を発症するリスクを減らすことを治療目標としています。「血圧が高い、コレステロールが高い」方や「胸の痛み、動悸、息切れ、むくみ」などの症状がある方は当科までご相談ください。

当科の特長

320列CT装置を用いた被ばく量の少なく迅速な動脈硬化性疾患の診断

動脈硬化によって心臓や下肢の血管に狭窄や閉塞が生じて、狭心症、心筋梗塞、下肢閉塞性動脈疾患を発症します。これらの動脈硬化性疾患は造影剤を用いたCTで検査する事が可能です。当院では患者さんの被ばく量をおさえ、鮮明な画像を得ることが出来る320列の高速CT装置を導入し、短時間で心臓や下肢の血管を鮮明に撮影し、外来での迅速かつ的確な診断に役立てています。

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左冠動脈前下行枝の高度狭窄病変

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左浅大腿動脈の完全閉塞病変

心臓MRIを用いた心臓機能・心筋症の診断

近年心不全が増加しており、その中にはサルコイドーシスやアミロイドーシスなどによる心筋症など特殊な治療により効果が期待できる疾患が隠れています。当院では心臓MRIを用いて、心臓の機能だけではなく、心筋症の診断を行い、その疾患に対する適切な治療につなげています。

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心臓MRIの遅延造影所見

超音波検査(エコー検査)を用いた心臓弁膜症の診断

超音波検査では、心臓弁膜症における弁の詳細な形態観察や重症度評価などを非侵襲的に調べ、最適な治療時期や治療方法の選択に繋げることができます。重症の場合は、弁自体に構造的な異常を伴うことが多く、基本的には手術治療を考えなくてはなりません。手術治療は患者さんの人生にとって重大な治療となりますので、我々はその適応を慎重にかつ丁寧に評価します。

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大動脈弁正常

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大動脈弁狭窄症

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僧帽弁閉鎖不全症

多職種で構成された心不全チームによる心不全再発予防

社会の高齢化に伴い、心不全が増加しています。心不全は改善と増悪を繰り返しながら進行していく疾患であり、約30%程度の方が1年以内に再入院を要します。予防には、薬物治療のみではなく、塩分制限を中心とした食事療法、運動習慣、生活環境の改善など多角的なケアが必要です。当院では、循環器内科医と心不全療養指導士の資格を有する看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士、ソーシャルワーカーの多職種で構成された心不全チームで、包括的なケアを提供し、心不全再入院の予防を目指しています。

入院中から外来まで切れ目のない心臓リハビリテーションの継続

心臓リハビリテーション(運動療法)は、心臓だけではなく骨格筋や血管などの多臓器に効果があり、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)や心不全に対して運動耐容能の改善、QOL(生活の質)の向上だけでなく、生命予後の改善、再入院率の低下をもたらすと言われており、入院中だけではなく、外来まで継続することがとても大切です。

当院では、入院・外来を問わずに、心臓リハビリテーション指導士の資格を有する理学療法士が、心肺運動負荷試験(CPX、Cardiopulmonary Exercise Testing)を行うことで、患者さん一人一人にあわせた適切かつ安全な運動療法を提供します。また、他院に心不全のため通院中の患者さんの外来リハビリテーションのご依頼も受け入れていますので、ご希望のある患者さんはかかりつけ医とご相談のうえで患者サポートセンターまでお問合せいただけましたらと思います。

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こんな症状・疾患をみています

高血圧に対する専門的診断と治療

高血圧は心臓や血管に負荷をかけ、心臓病や脳卒中などの重篤な疾患の発症リスクを増加させますが、血圧を管理する事で、このリスクを軽減する事ができます。当科では、減塩などの生活習慣の改善や降圧剤の処方により、血圧に関する継続的なフォローアップを行います。一般的には高血圧は生活習慣病ですが、からだの調子を整えるホルモンの異常や腎臓の病気などにより高血圧を発症する事があり、これを二次性高血圧症(原発性アルドステロン症など)といいます。当科では、内分泌内科と協同し、二次性高血圧症に関する診断や治療にも対応しています。

虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)に対するカテーテル治療

虚血性心疾患で代表的な疾患は狭心症と心筋梗塞です。狭心症は心臓に血流を供給する冠動脈が狭窄し血流が不足する状態、心筋梗塞は冠動脈が閉塞して心筋が壊死する状態です。特に急性心筋梗塞は生命にかかわるため緊急治療が必要です。 cardiology_img12.jpg

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右冠動脈と前下行枝の狭窄病変

当科では、手首や足からカテーテルを冠動脈に挿入し、バルーン(風船)やステント(金属の網目状の筒)で血管を拡張するPCI(Percutaneous Coronary Intervention、経皮的冠動脈インターベンション)を行い、胸痛などの自覚症状の改善や急性心筋梗塞による死亡率を低下させる事を目指しています。

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カテ室

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ステント拡張

冠動脈が石灰化している場合、通常のバルーンやステントでは十分な拡張ができないことがあります。その際は、ロータブレーターというドリルで硬い石灰化を削り、バルーンやステントの拡張効果を高める治療を行う場合があります。

重篤な心筋梗梗塞には、大動脈内バルーンパンピング(IABP)や経皮的心肺補助装置(ECMO)などの補助循環装置による治療も行っております。

下肢閉塞性動脈硬化症に対するカテーテル治療

下肢閉塞性動脈硬化症は、足の血管に狭窄や閉塞が生じ、足に血流が不足する状態です。歩行時の足の痛みや冷感の自覚、重度な血流低下がある場合は安静時でも痛みや潰瘍、壊疽が生じる事があります。当科では、バルーンやステントを使い、下肢の血管を拡張するEVT(Endovascular Therapy、血管内治療)を行う事で、痛みや冷感の改善や潰瘍の改善を目指します。潰瘍や壊疽がある場合は、形成外科での創傷処置や血液透析センターでのLDLアフェレーシス治療など複数の科と連携して包括的治療を行います。

当科では、薬物療法やカテーテル治療などの内科的治療を行いますが、進行した虚血性心疾患や下肢閉塞性動脈硬化症にはバイパス手術などの外科的治療が必要な場合があります。当科と心臓血管外科は密接に連携し、最適な治療法を選択し、治療の経過を共有して、最良の結果を提供を目指しています。

不整脈に対するデバイス治療

心拍数が通常よりも遅い状態を徐脈といい、ペースメーカ治療が行われます。通常のペースメーカは胸部に本体、リードとよばれる電線を心臓内に留置します。当院では、2018年から、リードがないリードレスペースメーカを導入しています。リードレスペースメーカは胸部に手術痕を残さず、リード損傷や感染などのリードに関連した合併症リスクの低減が期待できます。

致死的な不整脈に対しては、心臓突然死を未然に防ぐべく植込み型除細動器(ICD、Implantable Cardioverter Defibrillator)移植術を行っています。原因不明の失神に対しては、数年間、心電図をモニタリングできる植え込み型ループ心電図(ILR、Implantable Loop Recorder)を植込むことで原因の検査が可能です。

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リード付きペースメーカ

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リードレスペースメーカ

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リード付きペースメーカ

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リードレスペースメーカ

心不全に対する薬物治療、デバイス治療、心臓リハビリテーション

心不全とは心臓の機能が低下する事で、息切れやむくみ、倦怠感が起こり、生命を縮める病気であり、心不全治療の基本は薬物治療です。息切れなどの症状改善だけではなく、再入院率や死亡率を低下させる事を目的に薬物治療の調整を行います。さらに、心不全の原因に応じて、虚血性心疾患にはカテーテル治療、心臓の収縮タイミングのズレ(心室同期障害)が生じている場合にはデバイス治療による心臓再同期療法(CRT、Cardiac Resynchronization Therapy)、虚血性疾患や弁膜症の病状が進行している場合には心臓血管外科でバイパス手術や弁形成術、弁置換術を行っています。また、心不全の再発予防として、多職種で構成された心不全チームによる包括的ケアや心臓リハビリテーションを提供しています。

施設認定

  • 日本循環器学会認定循環器専門医研修施設

研究情報の公開

  • 植込み型心臓電気デバイス治療に関する登録調査[New JCDTR2023]について

当院では、植込み型心臓電気デバイス治療に関する臨床研究に協力しております。研究への協力を希望されない場合は、受診された診療科にお伝えください。

担当医紹介