糖尿病・内分泌内科

診療内容

当科では、糖尿病をはじめとした代謝疾患や、各種内分泌疾患(甲状腺、副腎、下垂体疾患など)を中心に診療を行っております。糖尿病診療に関しましては、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師(数名の糖尿病療養指導士を含む)といった多職種からなる糖尿病チームを中心に、外来診療のみならず教育入院での血糖コントロールや合併症検査、糖尿病教室などを行っております。内分泌疾患に関しましても、診断のための各種検査を含め幅広く対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

当科の特長

糖尿病の合併症の早期発見を心がけています

糖尿病を有する方は年々増加しておりますが、糖尿病治療の最大の目的は、合併症を予防し、糖尿病ではない方と変わらない健康的な生活を続けていけるようにしていくことです。早期に糖尿病治療を開始し、良好なコントロールを保っていくことが大切ですが、ある程度合併症が進行してしまっている場合でも、早い段階で見つけていくことが重要になります。当科では、積極的に心血管疾患をはじめとする合併症のスクリーニング検査を行い、必要に応じて他科(循環器科内科・外科腎臓内科形成外科など)と連携した、円滑な診療を心がけております。

外来診療は、月曜~金曜まで毎日行っており、患者さんそれぞれの生活背景・スタイルにあわせた診療を心がけております。2016年4月の診療開始以降、近隣クリニックなどからの紹介も含め、1型・2型を問わず多数の糖尿病患者さんを中心に診療しております。内分泌疾患に関しましても、診断から治療に至るまで幅広く対応しておりますが、必要に応じて市内の基幹病院との連携も行っております。

糖尿病の教育入院で食事・運動療法のきっかけづくりと合併症のスクリーニングを

糖尿病教育入院は、月2回程度開催の糖尿病教室(月曜~木曜)と合わせ、1年を通して随時受け入れております。1~2週間程度の期間で、食事・運動療法の実践、糖尿病教室への参加と合わせ、神経障害、腎症といった細小血管症や動脈硬化性疾患、悪性腫瘍精査などを含む各種合併症検索を行います。

他の診療科の入院でも安心した血糖コントロールを

糖尿病の患者さんは心血管病や悪性腫瘍などが合併しやすいため、手術などの目的で入院される患者さんもたくさんいらっしゃいます。特に外科手術では食事を控えていただくこともおおく、手術の影響で血糖が上昇することもあり、さらに食事の進み方も患者さんそれぞれであるため、血糖コントロールが難しくなります。糖尿病科は入院された糖尿病患者さんの血糖のコントロールを日常的にお引き受けしています。

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カンファレンスの様子

糖尿病教室年間スケジュール

教室の内容
内容 講師
1日目 ①糖尿病ってどんな病気
②食事療法について
医師
管理栄養士
2日目 糖尿病と上手に付き合うために 看護師
3日目 ①フットケアについて
②運動療法について
看護師
薬剤師
4日目 薬物療法について 理学療法士
年間予定表(変更となる場合があります)
2024年4月 8~11日、22~25日
5月 13~16日、27~30日
6月 10~13日、24~27日
7月 8~11日、22~25日
8月 5~8日、19~22日
9月 2~5日、9~12日
10月 7~10日、21~24日
11月 11~14日、25~28日
12月 9~12日、23~26日
2025年1月 6~9日、20~23日
2月 3~6日、17~20日
3月 3~6日、24~27日

こんな症状・疾患をみています

糖尿病(高血糖)

糖尿病は、初期の段階では症状を自覚することが少ないため、病院を受診することや、治療を継続することをためらってしまう方も多いかと思います。しかし、症状が出たときには病状が進行している可能性が高く、症状がなくてもきちんと治療を受けることが大切です。

血糖値は、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きによって低下します。糖尿病とは、インスリンの出や効きが悪くなることによって血糖値の高い状態が続いてしまい、その結果さまざまな合併症を引き起こす病気です。

糖尿病に特有の三大合併症として、神経障害、網膜症、腎症があります。神経障害があると、両手足(特に足裏など)の感覚異常、こむら返り、立ち眩み、胃腸障害などさまざまな症状を引き起こすことがあります。また、網膜症によって目が見えなくなる場合や、腎症によって透析が必要になる場合があります。その他、心筋梗塞や脳梗塞、足の壊疽など、さまざまな動脈硬化性疾患を発症するリスクがあります。良好な血糖値を保っていくことによって、このような合併症を予防し、健康的な生活を維持していくことが、糖尿病治療の最大の目的になります。治療としては、食事・運動療法による生活習慣の改善と、必要に応じて薬物療法を行います。当院には、専門の看護師、管理栄養士、理学療法士、薬剤師などがおり、それぞれの患者様に合わせた日常生活や治療のサポートを行っています。

症状
  • のどが渇く
  • おしっこが近い
  • だるい
  • 足がつる
  • 目がかすむなど

内分泌疾患

内分泌疾患は、比較的頻度が低く、一般的になじみの薄いものが多いため、診断までに時間がかかることもしばしばあります。一方で診断がつけば、適切な治療により劇的に症状が改善する可能性もあります。当てはまる症状など何か気になることがあれば、まずは検査だけでも受けていただくことは可能です。代表的な疾患について、簡単にいくつかご紹介します。

甲状腺疾患

バセドウ病(甲状腺ホルモンが多くなる)

自己免疫という機序により、甲状腺ホルモンが通常より過剰に分泌され、甲状腺中毒症(動悸、発汗、ふるえなど)をきたす病気です。他にも甲状腺が腫大することによって首が腫れる、眼球が突出する、イライラしやすい、体重が減る、下痢をするなど、さまざまな症状を引き起こすことがあります。放っておくと不整脈や心不全、さらにはクリーゼといって高熱や意識障害、せん妄などをきたす恐れがあります。比較的女性に多い病気ですが、男性の方でも発症することがあります。飲み薬で治療することが一般的ですが、放射線治療や手術なども選択肢としてあります。当院では薬物療法による治療を行っておりますが、採血検査は当日に結果が判明しますので、より細やかな薬の調整が可能となっております。

症状
  • 動悸がする
  • 汗が出やすい
  • 手がふるえる
  • 体重が減る
  • 目が腫れぼったい
橋本病(甲状腺ホルモンが少なくなる)

バセドウ病同様、自己免疫という機序が原因となりますが、成人女性の10%、男性の5%程度にみられる比較的頻度の高い病気です。治療が必要とならない場合がほとんどですが、一部で甲状腺機能が低下し、飲み薬による甲状腺ホルモンの補充が必要となることがあります。甲状腺ホルモンが不足すると、からだのだるさ、むくみ、脈が遅くなる、気力が低下する、首が腫れぼったくなるといった症状が起こる場合があります。まれに、一時的な甲状腺ホルモンの上昇(無痛性甲状腺炎)による甲状腺中毒症(バセドウ病の症状参照)を起こすことがありますが、自然に軽快し、最終的には機能が低下していくことが多いです。適切に甲状腺ホルモンの補充を続けていけば、問題なく日常生活を送ることができます。

症状
  • 体がむくみっぽい
  • 体温が低い
  • だるい

副腎疾患

原発性アルドステロン症

副腎で作られるアルドステロンというホルモンが、通常より過剰に分泌されることにより、高血圧や低カリウム血症を引き起こす病気です。動脈硬化が進行しやすくなるとされ、低カリウム血症によって手足の脱力や筋肉痛、不整脈などが起こることもあります。高血圧として治療されている方の5~10%程度にこの病気が隠れていると言われており、比較的若年の方や、通常の降圧薬治療で改善が不十分の場合には、この疾患を疑う必要があります。副腎は左右の腎臓の上にそれぞれ位置しますが、両側から過剰分泌されている場合と、片側から過剰分泌されている場合があり、片側性の場合には手術で完治できることもあります。まずは採血でスクリーニング検査を行い、疑いがあれば負荷試験などで診断を行っていきます。当院では外来、入院いずれの方法でも、検査に対応しています。

症状
  • 血圧が高い
  • カリウムが低い(手足の脱力、筋肉痛など)
クッシング症候群

副腎で作られるコルチゾールというホルモンが、過剰に分泌される病気です。副腎にできる腫瘍が原因となり、血圧や血糖値、コレステロール値などが高くなるほか、満月様顔貌、中心性肥満といった身体的変化が特徴的な疾患です。エコーやCT検査等で副腎腫瘍の有無を確認するほか、各種負荷試験や採血検査などで診断します。スクリーニング検査であれば、外来でも行うことができます。

症状
  • 血圧・血糖値・コレステロール値などが高い
  • 満月様顔貌
  • 中心性肥満(手足は細いが胴体部分が太っている)

下垂体疾患

下垂体機能低下症

下垂体は、脳底に位置する小さな器官で、前葉と後葉に分かれています。下垂体前葉からは副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、成長ホルモン(GH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、性腺刺激ホルモン(LH・FSH)、乳汁分泌ホルモン(PRL)が、後葉からは抗利尿ホルモン(ADH)が分泌されています。下垂体疾患には、これらのホルモンが過剰に分泌されるもの、反対に分泌が低下するものがあり、その病態・疾患は多岐に渡ります。過去に下垂体腫瘍の手術や放射線治療などを行っている方で、下垂体ホルモンが不足しているにも関わらず、適切なホルモン補充療法を受けていない場合がまれにあります。その場合、強い倦怠感や食欲不振、からだのむくみなど、さまざまな不調をきたすことがありますので、一度検査を受けていただくことをお勧めします。まずは外来での採血検査で、上記のホルモン濃度などを測定することが可能です。

症状
  • 強い倦怠感
  • やる気が出ない
  • 食欲がない
  • ナトリウムが低い
  • 血糖値が低い
中枢性尿崩症

下垂体後葉で分泌される抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が、何らかの理由で障害されることにより、口渇・多尿をきたす疾患です。1日3リットル以上のおしっこが出ることが特徴で、脳MRI検査や採血・検尿、各種負荷試験などで診断をつけることが可能です。家族性に発症することもあり、薬物治療によって症状の改善を得ることができます。

症状
  • おしっこの量や回数が多い
  • のどが渇く

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