血液透析センター

診療内容

透析には血液透析と腹膜透析の2つがあり、当院では血液透析、腹膜透析、およびハイブリッド療法を受けることができます。当院の血液透析センターは24床の透析ベッド(テレビつき、ベッド間隔は1.1m以上と広く、すべてのベッドでOn-line HDFが可能)をもっています。外来の維持血液透析は月・水・金は2クール、火・木・土は1クールで行っており、透析スタッフのきめ細やかなケアのもとで治療をうけていただくことができます。また、心臓血管外科医と協力してバスキュラーアクセストラブルの早期発見および治療を心がけています。

※外来維持血液透析の通院に関するお問い合わせ、ご相談は患者サポートセンター(TEL:011-521-0001)までご連絡下さい

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当科の特長

Shared Decision Makingにもとづいた患者さんと一緒に選ぶ治療法

Shared Decision Making(共同意思決定)とは、患者さんと医療スタッフが一緒に、患者さん自身の生活や好みを大切にしながら、最適な治療法を決める方法です。当院では、腎臓学会・透析医学会・腹膜透析医学会の専門医・認定医の資格をもつ腎臓内科医がこの方法を使って、患者さんにあった治療法を提案しています。

当院血液透析センターの外来では、週3回の維持血液透析に加えて、腹膜透析を週5~6日行いながら血液透析を週1回うけるハイブリッド治療も対応が可能です。夜間透析については当院では対応していませんが、札幌中央病院グループのゆうあいクリニックが対応しています。

循環器内科医による循環器症状への対応

心腎連関と言われている様に腎臓と心臓は密接な関係があり、腎臓病に心疾患の合併は多いです。透析を受けている慢性腎不全の患者さんではさらに動脈硬化がすすみやすくため、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、大動脈弁狭窄症などの弁膜症がより進行しやすくなります。循環器内科医は心臓超音波検査や冠動脈CTをつかって心疾患を早く見つけ、悪化を防ぐための治療や適切な薬を処方します。また、透析中に起こりやすい不整脈に対する適切な薬物治療を行うとともに、血圧を適切なレベルにたもって心臓への負担を少なくするような透析条件の設定を心がけています。

透析患者さんの生活の質を保ち、さまざまな悩みに対応するための多職種によるチーム医療

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腎臓の機能が失われると、体にたまった水分で息が苦しくなったり、食欲がなくなったり、かゆみや便秘をしたりなどの様々な問題がおこります。一方で、透析治療に食事、運動、薬などをうまく取り入れることで、何十年も元気に暮らしている人がたくさんいらっしゃいます。当院では、さまざまな専門家がチームを組んで、患者さんの生活をサポートします。そして患者さんだけではなくご家族のお悩みも大切にサポートしています。何か困ったことがあればどんなことでもお気軽にご相談ください。(詳しくは各部門のページをご覧ください)

透析中のリハビリテーション

透析患者さんは透析中もふくめてベッドの上にいる時間が長くなりがちです。近年の研究で、適度な運動がつまずきの防止を防いだり、筋力を増やしたり、からだの動きをよくすることがわかり、寿命を延長することもわかってきました。当院では心臓や血管の病気に対するリハビリテーションの経験が豊富な理学療法士が、エルゴメーターなどの道具を使った透析中のリハビリテーションの方法を教えています。

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超音波機器をいかした透析バスキュラーアクセスに対する穿刺と、狭窄・閉塞の早期発見

バスキュラーアクセス(内シャントなど)は血液浄化療法のためにからだから血液を取り出すためのもので、血液透析を受ける患者さんが安心して治療を受けるためにとても大切なものです。血液透析センター内には超音波機器が配備されており、バスキュラーアクセスへの穿刺が難しい患者さんに対して、積極的に超音波ガイド下での穿刺を行っています。また、穿刺中に臨床工学技士や看護師がバスキュラーアクセスの狭窄や閉塞をうたがったときは、すぐに臨床検査技師と協力して超音波検査を行い、適切な治療につなげます。

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現役の心臓血管外科医によるバスキュラーアクセス作製術および修復術

当院では心臓血管外科を中心に、腎臓内科・循環器内科と協力して、維持血液透析導入時のバスキュラーアクセス(内シャント、人工血管内シャント、動脈表在化、透析用カテーテル)の作製を行い、狭窄や閉塞に対しては経皮的バスキュラーアクセスインターベンション(VAIVT)・血栓除去やバスキュラーアクセスの再建などの適切な治療を行っています。

慢性腎不全の患者さんは動脈硬化がすすみやすいことに加えて、血液透析を長く受けているあいだに血管がいたんでくることがあります。これらの問題に適切に対処するためには、細かい血管をつなぐ技術や人工血管といった、心臓血管外科手術の豊富な経験が必要です。当院では、心臓血管手術を担当する外科医がバスキュラーアクセスの作製・維持に取り組んでおり、札幌市内のたくさんのご施設からバスキュラーアクセスの問題でお悩みになっている患者さんをご紹介いただいています。

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日帰り手術にも対応できる経皮的バスキュラーアクセスインターベンション(VAIVT)

VAIVT(Vascular Access Intervention Therapy; ヴァイブト)とは透析用バスキュラーアクセスのトラブルに対するカテーテル治療のことで、以前はシャントPTAともよばれていました。バスキュラーアクセスを形成する動脈や静脈へ細い管(カテーテル)を入れて、造影して血管の状態を調べます。もし狭いところがあればバルーンカテーテル(風船がついた細い管)を使って広げます。当院ではバスキュラーアクセストラブルを頻繁に繰り返す症例に対して薬剤コーティングバルーンを用いる治療や、人工血管の吻合部におこる狭窄に対するステント治療も行うことができます。当院では日帰り手術・入院手術のどちらも対応が可能です。

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透析患者さんの下肢閉塞性動脈疾患/重症下肢虚血の早期発見とLDL-アフェレーシス

慢性腎不全では動脈硬化がすすみやすいため、透析をうける患者さんは足の血管が狭くなったりつまったりする下肢閉塞性動脈疾患になりやすいです。その結果、歩くと足が痛んだり、冷たく感じるようになり、ついには壊死してしまい足を切断しなければならなくなる場合もあります。透析センターでは透析を受ける患者さんのフットチェックを定期的に行い、問題を早く見つけて適切な薬や運動による治療を行っています。また、血液透析センターでは血行再建術ができない潰瘍のある重症の下肢虚血をもつ患者さんに対して、LDL-アフェレーシスという治療を行っています。これは、体外に血液を取り出してLDLコレステロールおよびフィブリノーゲンを吸着型血液浄化器で吸着し、血液の流れを改善することで難治性の潰瘍を治療するものです。

主な対象疾患・症状など

  1. 慢性腎不全
  2. 透析バスキュラーアクセス狭窄/閉塞

施設認定

  • 三学会構成心臓血管外科専門医認定機構基幹施設(日本胸部外科、日本心臓血管外科学会、日本血管外科学会)
  • 日本循環器学会認定循環器専門医研修施設
  • 日本心血管インターベンション治療学会研修施設群連携施設
  • 日本腎臓学会認定教育施設
  • 日本透析医学会認定施設

学会・研究会等発表演題

第69回日本透析医学会学術集会・総会(2024年6月7~9日、横浜)
演題名 下肢の筋力低下が先行して心嚢液貯留をきたし診断に苦慮した脚気心合併維持血液透析患者の一例
演者 山下 智久1、内藤 和幸2、儀間 充2、荒木 英司3
所属 (1)札幌中央病院 腎臓内科、(2)循環器内科、(3)心臓血管外科

演題名 CEによるエコーを用いたVA管理に対する意識調査
演者 佐々木 優1、金谷 匡亮1、山名 正和1、岩渕 正恵1、及川 明日香2、山下 智久1、儀間 充1、荒木 英司1
所属 (1)札幌中央病院 透析センター、(2)検査科

演題名 エコーを用いたバスキュラーアクセス評価における臨床検査技師の技術協力
演者 森 泉1、佐々木 優2、金谷 匡亮2、山名 正和2、岩渕 正恵2、及川 明日香1、山下 智久2、儀間 充2、荒木 英司2
所属 (1)札幌中央病院 検査科、(2)透析センター

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